2023.01.25

科学捜査に用いられる化学反応を実習で体験 ~藤沢翔陵高等学校

昨年12月、藤沢翔陵高等学校(神奈川県藤沢市)の理系クラス2年生が横浜薬科大学を訪問。高大連携の取組みの一環として薬学部准教授の酒井佑宜先生の講義を受けました。
今回は酒井先生の専門分野である有機化学合成に関連して『科学捜査に用いられる化学反応を体験してみよう』というテーマの講義と化学実験の実習が行われました。
警察モノのドラマで聞いたことがある人も多いかもしれません。「ニンヒドリン反応」「ルミノール反応」の実験を行いました。

まずは高校化学でも学習する「化学反応」「有機反応」についておさらいをしてから実験開始です。

指紋を検出するニンヒドリン反応

人差し指に謎の“試薬X”を付着させて紙に押しつけ、その上からニンヒドリン試薬をスプレーして、ホットプレートで加熱。

1 指にニンヒドリン試薬をスプレー

2 ホットプレートで乾燥。すると…

3 指紋がはっきりと紙から赤紫色に浮き出しました。

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(※プライバシー保護のため指紋に画像処理を施しています)

今回使った“試薬X”の正体は旨味調味料の「味の素」でした。
味の素の成分であるグルタミン酸ナトリウムは有機化合物(アミノ酸)。
アミノ酸はニンヒドリン反応することで赤紫色になることを利用した試験方法です。

今回は検体に指紋検出試薬を付けて乾燥させ、指紋を検出する方法(液体法)を行いました。
昔の刑事ドラマではこのような方法で指紋を検出していましたが、現在はDNA検査が主流なので、いまやあまり行われていないようですが。

血液を検出するルミノール反応

続いて、やはり科学捜査で血液を検出するルミノール反応。ルミノールが酸化することで化学発光する反応を利用するものです。

1 ルミノールを過酸化水素+水酸化ナトリウムの水溶液に加え、ルミノール試薬を作ります。

2 それを“血液”に加えると、発光現象が起こります。

1

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ルミノールと血液中の「鉄」で過酸化水素が分解されることで、ルミノールが酸化したわけです。

ちなみに今回の実験では本物のヒトの血液は使っていません。
血液中の「鉄」が反応することから、鉄の含まれた材料を使いますが、市販されている「鶏レバー」の血液などは実験に使いやすいです。

発光現象など実際に化学反応が目に見える形で現れると、自然と生徒たちも驚きで盛り上がりを見せていました。薬学部の実験施設で有機合成を体験することで理系志望の生徒にとってもより深く知る機会になったようです。
また薬学について、「薬学部→薬剤師→医療」のイメージで捉える方も多いと思いますが、医療だけでなく科学研究による様々な分野の仕事に繋がる学問であることに気付く機会になったのではないでしょうか。

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